坂井流鍼術 『鍼術秘要』

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坂井流鍼術 『鍼術秘要』

2013-04-09

和魂漢才鍼灸の足立繁久です。

前回の記事で横刺のことを書きましたが、
横刺といえば坂井流の鍼術です。

そして、坂井流と聞いて思い浮かべるのが
この『悲鳴をあげたおじさんが鍼されるの図』ですが(^^;)

 

坂井流の理論を表しているのがもうひとつの図だと思うのです。

この円図の中でとくに注目すべきは、肝の部位に関する注釈です。
(以下、青文字は『鍼術秘要』より抜粋)

『肝の臓は経絡、及び筋を主りて、
心の臓と部位を同じくする者は、
心の主る所の血肉と経絡と倶に一身中の皮表の内に在れば也。
而して五臓六腑は胸腹の内に在りて、
譬えば、陰嚢腫れ痛む者は、其の陰嚢は肺の主る所なるを以って
肺臓、湿熱に感ずるときは、其の主る陰嚢へ其の症を見わさんして、
肝の主る所の経絡を過ぎる。
又、項背強り、或いは腰痛む者は、其の項背と腰とは腎の主る所ゆえ
腎臓、寒気或いは邪気に感ずるときは、
その主る所の項背腰等に症を見わさんとして、肝の主る経絡を経過す。
また、脾臓の不和して其の主る所の足痛み、或いは攣急することあるも亦
胃腑不和して、其の主る所の手痛み、或いは挙げざること能はざるも、
皆、その経絡を通行すること、この圓圖(円図)を見て知るべきなり。
是故に其の経絡に針を刺して肝経の困しみ鬱滞する部を開散すれば、
縦令、心腎肺脾の不和より発する病症たりとも、亦能く治する也。
余が針術の腹部を刺すことを好まずして、経絡を刺す所以なり。』

人体・経絡を、肝木を主として観ていることがわかります。
(そして、心火と同じ階層に属しているのも深いですね)

一般的に(?)五行でみてみると、
中央となるのは“土”なのですが…
(なので、胃土を主として治法を組み立てる流派は多い)

視点を変えると、陰陽の間に立っているのは“木”です。

なので、上に書いた坂井流の流儀もまた是であると考えます。

それだけに、鍼術というのは、バリエーションが広がるのですね♪
(そのおかげで混乱することもあるでしょうが…^^;)

さて、この坂井流の書『鍼術秘要』ですが
最初から読んでいくと、なかなか興味深い言葉が多いですね。

いくつかピックアップして紹介してみましょう!

【始言】
太古の治療に鍼法有て、専ら諸病に施す。
後世に至りて、終に其の術を失えり。
且つ近来 庸醫世上に流行するに及んで、
天下の醫、彼が窮理術と称するに感はされて、
古人の方に因りて以て、鍼術を論ずる者なし。
今、世の鍼醫と称する者は口に十四経の経穴を唱うと云へども
其の針を刺すを観るに、
腹痛する者には、其の痛む部の腹中を刺し、
凝塊ある者には、其の塊を刺し、
攣急する者には、其の攣急する所の筋頭を刺す。


是を以て、其の病経に中ること無し。
若し病経に中ること有るも、
刺方、正からざるが故に、針鉾(はりのさき)かすかに之に触るるを以て
病の治すること甚だ稀なり。
たまたま治すること有るも、多くは鍼の功に非ずして
病勢の自然の緩み、或いは服薬の効に因る者なり。
余、古人の妙術を得ずと云えども、今の醫の針方の拙きをうれい
十四経に因り、数十年間、経験する所を集録して
以って同志の徒に示す。
愽く病者を済うの一助とならんことを庶幾(こいねがう)のみ。

【鍼を刺すに腹部と経絡とを論ず】

凡そ鍼術に効ある諸病は皆な肝の臓に係ると知るべし。
肝は経絡及び筋を主る故なり。
蓋し、経絡は肉にして肉絡の聚る所は即ち千筋なり。
もし肝の臓、鬱滞して、或いは心腎肺脾の四臓と和せざるときは
其の主る所の筋絡も亦、鬱滞するが故に
肝、ますます鬱滞して諸病を発す。
然らば則ち肝は本也。
筋絡は末也。
是故に肝は譬えば池なり。
筋絡は譬えば、溝洫(洫:みぞ)なり。


雨降り水漲るとき、彼の池の水門塞がり
或いは溝洫碍(さまたげ)あれば、池、塘壊し、
或いは、溝洫破れて、田園損するの害あり。
其の池、水溢れ、田園損せんとするときに當って
池を深くし、水門を開かんと欲すれども、及ぶことなきのみ。
肝の臓、鬱滞して、諸病を発するときに當って
腹部に針を刺すと云へども、何の益あらんや。
故に余が鍼術は肝及び諸臓の部位を刺すことを好まず。
経絡を刺すことを専らとす。


夫れ水門開き、溝洫疎通するときは、
縦令、雨大いに降り、水漲ると云えども、害あること無し。
心腎肺脾の不和に因りて肝鬱滞し、諸病を発すと云えども、
その経絡に鍼を刺すときは則ち能く病苦を除く。
此れ、余が数十年間苦心して得る所なり。


【鍼術の要言】


一、余が鍼術は直刺を好まずして、横刺を善とす。
何となれば、直刺は、縦令 鍼の竜頭まで肉中に入れると云へども
病経を経過すること、一、二分に過ぎざるのみ。
是を以て其の効を取ること甚だ少なし。
横鍼にするときは、、鍼の鉾(さき)より竜頭まで悉く病経に中る。
故に直刺に比すれば、其の効十倍すればなり。
(略)
一、気海、丹田を按するに甚だ柔らかにして力なく、
或いは柔らかにして溝をなし。
又た凹となる患者は、鍼を施すべからず。
鍼すると云へども、効を得る者に非ざれば也。


一、少腹を按ずるに、うわつらの手ざわりは攣急し、
少し力を入れて按ずるときは、腹底に力無き患者は、
多くは心下、及び脊の二行通り、悉く攣急し、
或いは下利する者なり。
此の如く者は、鍼すると云へども、其の効得がたき者なり。
(略)
一、鍼を刺して後、発熱、頭痛、上衝(のぼせ)、
目眩、嘔吐、食進まざる等の症を発して、
其の原病の一等重く見ゆることあり、
此れ鍼術にて効ある験(しるし)なれば、必ず驚くべからず。
(略)
一、鍼術を施すに其の患者、鍼の痛みに堪え兼ぬることあり。
此れ表気閉塞の性の者、
或いは表熱の為に然らしむる者なり。
表熱に依りて然る者は、麻黄加柴胡、
或いは小柴胡加麻黄葛根、
或いは桂枝加葛根湯の類を一二日用いて後に鍼す。
又、常に表気閉塞の性の者は、當に今患うる病症脈症を察し、
虚実を測り、害なければ、麻黄湯、大青竜湯、葛根湯を用いて後に鍼術を施すべし。

一、鍼を刺すに所々にて痛む穴あり。
此れ其の部に肺気順行せずして皮表閉塞する故なり。
然る者は指にて其の邊をもみ、或いはつかみ、運動を付けて後に刺すべし。
或いは其の痛む穴より五分許り傍らにて刺すべし。
(略)
一、鍼術に補瀉の二方あて、瀉鍼を云うは、
鍼痕より病の気を漏らし出すことなり。
補鍼と云うは、鍼を以て彼の凝絡を穿ち開き、金気を添えて裡へ送り込むこと也。
これ故に瀉鍼の方は、鍼を抜きて後、其の鍼痕の邊を柔らかにもみ、
或いはさするべし。
補鍼の方は、、鍼を抜きて直(ただち)に指先を以て、
其の鍼痕に當て、気を漏れ出さぬ様に、もみながら少し力を入れて、
推し込むべし。
然れども補鍼の症は甚だ少なくして、瀉鍼の症は尤も多し。


一、補鍼を行うべき症は、諸症中、温補の剤を與うべきに施して可なり。

=====

以上の『鍼術秘要』(上之巻)より私の好みで部分的に抜粋紹介させていただきました。
(文章は掲載順となっており、順序に私の考え理解は反映されていません)
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