お灸の萌え…燃えかた
2013-04-05
みなさん、こんにちは!
和魂漢才鍼灸の足立繁久です。
鍼灸師といえば、鍼と灸です。
灸法も奥が深い治療ですね。
もぐさのひねりひとつで、
・お灸の温度
・感覚
・脈の変化
・穴の変化
・治療効果
・・・などなど大きく変化すると思います。
なかでも興味深いのが、お灸の燃え方です。
現代の日本では、お灸の単位として“壮”を使っていますが
古典では“炷”という文字を見かけることがあります。
私はどちらかというと”炷”派ですね。
意識ひとつで、もぐさの燃え方は随分と変わるものだと思います。
とはいえ、古典を調べてみても、
お灸の燃え方に関する記述って意外と少ないのですねー…。
でも『おやっ!?』と思った記述がコレ↓
『新刊黄帝明堂灸経』と『鍼灸阿是要穴』です。
まずは『新刊黄帝明堂灸経』から
●火を下すの法
凡そ火を下し、灸を點し、
艾炷をして根下を赤く煇(かがや)きせしめんと欲すれば、廣さ三分。
若し三分ならざれば、孔穴に中らず、経絡に合し得ず。
榮衛、経脈、気血の通流するは、各々に主る所有るに縁る。
灸穴に中らざれば、即ち火気の遠達すること能はず、
而して病未だ癒えること能はず。
足立意訳==
お灸の炷の根元を赤く燃焼させるには、広さ三分。
このサイズでなければ、治療穴にジャストミートしないのだとか…
しかし、この三分に合致すれば、
お灸による火気は経穴から経脈に沿って遠達し、
治療効果を表すという…
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【広さ三分】…
この言葉が意味深ですね。
この記述に関する注として、岡本一抱センセが物申しています。
『鍼灸阿是要穴』
或人問う、古より謂る、灸艾の根下三分ならざれば、孔穴に中らず、と然るか否や?
曰く、此の説、後世に出て、余以って信とし難し。
蓋し内経に九鍼の論ありて、病に宜しき所の大小を辨す。
灸艾も亦然りとすべし。病に従い形肉に従いて艾炷の大小を辨すべし。
豈に諸々の孔穴の廣きこと必ず三分に決すべけんや。
且つその三分と謂う所の分寸は何れの代の分寸を以ってするや。
これその言は是なるが如くにして其の義、未だ詳らかならず者なり。
足立意訳==
灸の根元三分でなければ、穴に当たらず!!
これってホント???
この説は(一抱先生は)信じてません。
黄帝内経には九鍼の理論があって、
病態に従って鍼を使い分けていますよね。
微鍼(毫鍼)もあれば、圓鍼、鍉鍼も使います。
圓利鍼や大鍼、長鍼だって使います。
お灸もまた同様に、病態に従って
お灸の大小を変化させる必要があります。
ましてや、経穴の広さ(エリア)は“三分”だと決めつけるのはどうかと思います。
云々…。
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と、岡本一抱先生は、広さ三分を穴のエリアだとして
この説を否定しています。
確かに穴のサイズを分寸で決めつけてしまうのは、
いささか乱暴な考えですよね。
あまり東洋医学的ではないです。
しかし、気になるのは・・・
『艾炷をして根下を赤く煇(かがや)きせしめんと欲すれば、廣さ三分。』
お灸の炷の根元を赤く燃焼させるには、広さ三分。
という文です。
ここでは、穴の広さ・エリアを三分と言っているのでしょうか?
私は違うように思えます。
炷の根元を赤く輝かせて燃やすことで、
灸氣・火氣は穴に透徹して、脈道を通達します。
炷の根元を赤く輝かせて燃やすために“三分”がポイントなのです。
穴のサイズ・エリア・広さではないと思うのですねー。
艾炷のある部分の三分を意識することで
炷の根元を赤く輝かせて燃やすことができる…
私はそのように普段お灸をひねっています(^^)
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