瘧病について

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瘧病について

2013-07-17

皆さん、こんにちは。
和魂漢才鍼灸の足立繁久です。

さて、今回のテーマは“瘧(ぎゃく)”です。

瘧(ぎゃく・おこり)という病名は古典を読んでいると

よく目にする症候名です。

その症状の特徴は悪寒と発熱を繰り返すことから

瘧=マラリアという風に訳されている本もありました。

確かにマラリアは悪寒と高熱を繰り返す典型的な病気ですが

悪寒と発熱を交互に起すのはマラリアだけではありません。

それに、瘧病の病理を知ることで、
鍼灸治療に活かせることにもつながるのですよ♪

たとえ治療対象が“整形外科的疾患”であったとしても…

ということで、今回は瘧病(ぎゃくびょう)について調べてみましょう。

『素問』で、最初に瘧が登場するのは
四氣調神大論第二です。

・・・(略)・・・
夏三月、此れを蕃秀と謂う。

天地の氣が交わり、萬物は華さき實(みの)る
※『大素』では華は英と作す。

夜に臥して、早く起き、

日に於いて厭(いと)うこと無く

志をして怒らしめること無かれ。

華英をして秀を成さしめ

氣をして泄らすことを得せしむる。

愛する所、外に在るがごとし、

此れ夏氣の應、養長の道なり。

これに逆らえば則ち心を傷る。

秋に痎瘧を為す。

奉収する者少なければ、冬至に病重し。
※『大素』では痎を●(ヤマイダレ+皆)に作す。
・・・・・(略)・・・・・
【↑↓写真は『黄帝内経太素』楊上善
中国書店出版 新華所書店首都発行所発行】

とあります。
季節・天の氣と人の氣との関係が瘧病には関係があるようですね。

夏の気候は、五行でいうと“火”の季節です。

本来、夏は陽を養うことに適した季節です。

萬物が生い茂り、栄えて花ひらく季節。
漢字であらわすと“長”じる季節です。

この長じることを養う道(養長の道)に反すれば
心氣・陽熱の循環に異常をきたし、
秋になって病気になりますよ。

結果的に、症状として悪寒と発熱を起こす病気、
すなわち、(ぎゃく・おこり)を発症しますよ…と。

では、養長の道に反するとは、具体的にどのような生活なのか???

夏季の生活で大切なポイントは
“長ずること”であり“伸び伸び”であり、“泄らすこと”です。

しかし、養長の道に反して、長じさせず、泄らすことをせずにいると
陽気は伸び伸び活発にめぐることができず、体調を崩してしまいます。

その結果、心火・陽熱は中に鬱してしまい
表・外に伸びること・発することができなくなります。

そして、肺金のはたらきが動き出す秋に入って瘧病を発症してしまうのです。

ではでは、陽気が体表に伸びること、外に発することができない状況とは
どんな環境かと言いますと…

これは現代日本なら珍しくもない環境です。

冷房ですね。

朝昼晩と、外から冷やし続けることで、
発汗量は格段に減っています。

汗をかく量が減るということは、それだけ陽氣の動きは低下しており
皮膚の下に、陽熱と水氣が停滞していることを意味します。

なのでワタシ自身、ここ数年はカゼを引くと
往来寒熱の症状がちらほら出てくるようになってしまいました。

今年は養長の道を少しでも実践しようと思っています(^^;)

『素問』って、本当に大切なことを教えてくれますね。

瘧病について詳しくは次回『瘧病について・その2』に続きます。



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