尸という病

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尸という病

2013-01-27

みなさん、こんにちは!!
和魂漢才鍼灸の足立繁久です。

細々を配信している鍼灸メルマガ『鍼灸治療のツボ 和魂漢才鍼灸』

今月の『鍼灸治療のツボ』は天府穴

その主治病症に登場した尸病について、補足情報をアップしますね。

尸病(しびょう)というのは、あまり馴染みの少ない病気です。

病状にもさまざまなバリエーションがありますし
病因とされているのが伝説上の虫です。

ちょっと現代日本人には理解しがたい面を持っています。
正確に病態をつかむのは難しそうですね(^^;)

ちなみに、後代になると尸病は“癆瘵”という病名に変わった…という話もあります。

癆瘵(ろうさい・勞と祭にヤマイダレ)
『癆瘵とは、虚労がひどくなった病である』
このように『医方大成論諺解』に説明されています。

虚労が悪化した状態・・・というのであれば、イメージもしやすいですね。

とはいえ、まずは尸病から情報を整理していきましょう。
『諸病源候論』(巣元方 約610年)======
■諸尸候
人身の内に自ずより三尸諸虫有り。
人と共に生まれ、この虫、悪を忌み嫌う。
鬼霊と相い通じ、常に外邪と接して引き、人に患いの害を為す。

その発作の状は、或いは沈沈黙黙として、苦しい所が的確に分からず、
それでいて悪くない処など無いほど(の苦痛)である。
或いは、腹痛み脹急し、
或いは、累塊が踊起し(※累は石ヘン+累)
或いは、腰脊が攣引し
或いは、精神が雑錯する。
症状の変化が多端であり、その病の大体は略(ほぼ)同じくして小異あり。
但、一方を以て之を治する者、故に諸尸と名づくなり。
======

★≪豆知識≫
中国思想には三尸(さんし)という概念があります。

三尸とは3つの蟲(虫)で、生まれた時からヒトの体内に宿っています。
そして、その人が悪さをするたびに、神様に報告(告げ口)します。

告げ口をする時が庚申の日の夜。
人が寝静まった頃に体を抜け出して神様にチクリにいくそうな。

私たちにもイメージしやすいのは、
閻魔大王さまの閻魔帳に60日ごとに報告&記録されてしまう…ということでしょうか(笑)

なので、庚申の日の夜はゼッタイに眠らない…という対策を講じる人もいたとか(^^)

ちなみに、庚申…どちらも“金”の時です。

『千金翼』巻二十七(孫思邈 約682年) ======
◆肺病第七
凡そ中尸の者とは、飛尸、遁尸、風尸、尸注なり。
今、皆なこの一方を取りて之を治す。
その状、皆な腹脹痛急、気息を得ず。心胸両脇に上衝し、
或いは踝、踴起し、
或いは或いは腰脊を攣引する。

灸すること、乳後三寸。
男は左、女は右。
二七壮(灸)すべし。
止まざる者、其の壮数を多くして即ち癒ゆ。

『医心方』巻十四(丹波康頼 約984年)======
■治諸尸方第十二

『諸病源候論』に云う、人身の内に自ずより三尸諸虫有り。
人と俱に生まれ、この虫、悪を忌む。
能く鬼霊と相い通じ、常に外邪と接して引き、人に患いの害を為す。

その発作の状は、或いは沈沈黙黙として、苦しい所が的確に分からず、
それでいて悪くない処など無いほど(の苦痛)である。

或いは、腹痛み脹急し、
或いは、累塊が踊起し(※累は石ヘン+累)
或いは、腰脊が攣引し
或いは、精神が雑錯する。
症状の変状多端である。

葛氏方に云う、五尸の名ありと雖も、その例は皆な相い似たり。小し異なる者あり。
一、飛尸:変じて作すこと常無し
二、遁尸:喪哭を聞いて便ち作す
三、風尸:風を得て便ち作す
四、沈尸:寒冷に遇いて便ち作す
五、尸経:変転して大悪に致る

又、云う凡そ五尸なるは即ち是れ身中の尸鬼が外邪を接引して共に病害を為す。
経術に其の消滅の方あり、而して世の徒能く用いるに非ず。
今、復して諸経の要を撰び、以ってその其の弊を救わん。

(中略)

新録方治飛尸方
灸脊中および両旁相い去ること三寸、各五十主(炷)

又云う沈尸方
灸大倉(中管也)七壮 又、灸乳下一寸七壮。
======

諸々の尸病に関する情報は『諸病源候論』に準じます。

『医心方』には、治療法が記されているのが興味深いですね。

そのうち、鍼灸に関するものを紹介させていただきました。

◆飛尸に対する治療法
脊中穴、およびその外側三寸に、灸すること五十壮。

◆沈尸に対する治療法
大倉(中管)、これは中脘穴を指します。
中脘に灸すること七壮。さらに乳下一寸にも七壮。

何れの治療穴も、脾胃を中心とした治法だと言うことが分かります。

虚労ベースの病だとしてもそれはうなづけることですね。

では、次の資料を見てみましょう。
『鍼灸阿是要穴』巻之二(岡本一抱 江戸期)======
【傳屍癆(伝尸労)】…『(類経)図翼』に出づ。

云く、第一代の蟲は心を傷る。宜しく心兪の穴、並びに上下四華穴様の如く灸すべし。
第二代は肺兪四穴に灸す。前の如くす。
第三代は肝兪四穴に灸す。前の如くす。
第四代は厥陰兪四穴に灸す。前の如くす。
第五代は腎兪四穴に灸す。前の如くす。
第六代は三焦兪四穴に灸す。前の如く。

この証、5日は軽く、5日は重し。
軽き日はその蟲、大いに酔う。方(まさ)に灸すべし。

癆瘵傳屍の病は内に悪蟲を生化して
次第に代々に傳へて家門を滅す。

(後略)
===============

【灸傳尸(灸伝尸)】
『千金翼』に出づ。
上記に紹介した内容に同じ

云く・・・
『凡そ中尸の者とは、飛尸、遁尸、風尸、尸注なり。
・・・
止まざる者、其の壮数を多くして即ち癒ゆ。』

両乳頭の後ろ三寸に灸するときは、胆経輒筋の穴に近し。

按するに胆経は風木に属す。
凡そ虫の生ずる木気の化に遇わせて生ず故に
玉堂氏が、癆瘵六虫を論じて曰く
病、木気に経遇して而して生ず、と。

風の字、虫に従う者も諸虫は風木の化に従るを以ってなり。
是を以て傳尸癆虫の灸治多くは脇側肝胆二経の分に在る者か。

=======

【あとがき】
【傳屍癆】における配穴のターゲットは、
心・肺・肝・厥陰心主・腎・三焦…と、敢えて脾を外しているのが意味深です。

【灸傳尸】これは千金翼に載せられている手法の解説ですが
ここでは木をターゲットとした立場を取っています。

木気と金気に施術して、土気と火気にアプローチする。
大雑把にまとめてしまうと、このように考えられるのですが…
大雑把すぎますね。

尸病について調べていくと、尸虫という想像上のモノ(?)や
他にも狂症・鬼祟などの神霊的な表現が頻出し、
眉唾(まゆつば)な印象を感じてしましますが

現代事情に置き換えると、
“精神的疾患”や“メンタル面の弱り・衰弱が体調に左右する病症”など
心療内科系のお悩みにも対応できる可能性があると考えます。
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