脊柱管狭窄症の治験例 【鍼灸医案シリーズvol.12】

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脊柱管狭窄症の治験例 【鍼灸医案シリーズvol.12】

2013-08-05

◆鍼灸医案シリーズ vol.12

◆主訴:脊柱管狭窄症による腰の痛み、および起立・歩行困難
女性66歳

【初診】2013.05.27
丙癸丁癸
辰巳巳巳
【経緯】

産後間もない育児中の娘さん(30歳代)が、授乳と育児の疲労で完全にダウン・寝込んでしまい
3人のお孫さんの守りを一手に引き受けるも…
その結果、持病の脊柱狭窄症を悪化させてしまう。

元来、ガンバリ屋さんな性分なため、3人の孫守りの合い間をぬって
さらに某県の山林環境保護のワークに参加。

山道を数時間、立ちっぱ or 歩く…というスケジュールを一泊二日。

≪山林の間伐について…ワークとのことなので、こんな景色かと…≫

その結果・・・起立・歩行困難の状態になりました

常にベルト着用が必要で、立ち座りもスムーズにいかない…
と、このような状態で治療スタート!
≪写真は脈診はイメージ図です≫

◆なにはともあれ脈の情報から・・・

※脊柱管狭窄症の症状・身体の反応は、脈にキッチリ出ていましたね。
☞脈状・・・基本的に寸関尺ともに弦脈

☞脈形・・・両尺中は見事に内に入り弦。
※尺中の内側に膨らんでいるのではなく、
脈(川)の形が変わるのと同様、
完全に内側に入ってしまっているような脈形。

同様に両寸口も内。

☞六部定位の診方だと・・・右関上~関後一分が虚の状態。

◆腹証(配当は基本的に夢分流腹診を使っています)

心下・中脘の虚 とても深い!

両腎(腎相火・腎水)もなかなかの虚中実…。
(臍下正中には手術痕)
◆考証

“宿”・・・心・腎の虚
“因”・・・労倦+寒邪

“本”・・・裏虚ベースながら太陽経のエリアに厳しい実証があらわれた状態。

(※数年前に連れ合いを亡くされ、心神不安の既往もあり)

◆治穴

両三陰交、両太谿
右太衝
両少海

背兪穴は証に随い刺鍼。

心虚が甚だしいのは既往からも推察できる通り。
補心虚と同時平行で、表証を治療。
背兪穴もこの治則を加味して刺鍼。

背兪穴の治療は証に随い刺鍼しました。

私の場合、基本的に、1番鍼・1寸3分を使用しています。

≪アサヒ製ステンレス鍼・鍼先はやや柳葉型に近い≫

2診目もほぼ同じ状況

前回の治療後の感想としては、だいぶ楽になるが
日々の孫育てでダメージ(><)
3歩すすんで2歩下がるような状態。

◆脈証・・・前回とほぼ変わらず。
虚の脈状が少し変化。
関後一分の虚が減る。(これは良い徴候)

脈形・・・両尺・両寸ともに内。

◆腹証は割愛

◆治穴
右公孫
両三陰交、両少海、両合谷

※右合谷で両尺内がとれ、脈調う。

背部の治療は証に随う。
【3診目】2013.06.10
甲丁戊癸
辰未午巳

◆脈証・・・脈の変化がだいぶ見られる
脈形の変化が顕著。

両寸口内への変形が消失。
両尺中の内は残るも、初診時に比べて穏やか。

虚の脈状は関後一分に少し残る。
(これは腰の脆弱性・症状の根深さを表していると言える)

左右の脈の弦・堅さは右の方がガンコ。

◆腹証は割愛

◆治穴

右腕骨、右公孫
両少海

背部の治療は証に随う。

ここで一貫して使っているのが少海

これは脈形に対応させて配穴。

このような症状・脈形には、陰の診法・鍼法が適している。

ちなみに、この陰の診法・鍼法は今年の4月に紹介した治法です(^^)
6月は時間を基にした治法を紹介しました。

時間と空間でこれまた陰陽なのです。

ともあれ、3回の治療でうまく症状が解決されたので良し良しです。

その後も身体のメンテのために通院されていましたが
大きく体調を崩すこともなく、順調に回復して、
今は北欧に長期旅行中♪ 旅を満喫しているでしょうか…(^^)

≪北欧・フィヨルドのイメージ写真≫photolibraryさまよりfreeDL



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