【症例】嘔吐・下痢後の腹痛

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【症例】嘔吐・下痢後の腹痛

こんにちは!
和魂漢才鍼灸の足立繁久です。

今回のブログでは久しぶりに実際の鍼灸症例を挙げます。

嘔吐・下利症状の後の腹痛の治験例です。

■以下 症例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

来院日の5日前から、ムカムカ 吐き気(嘔気)に苦しむことひと晩。
なんとか耐えて、自然治癒?する…

さらに、その3日後(来院4日前)に吐き気(嘔気)が再発、
この時は実際に嘔吐も起こる。
嘔吐の回数は2~3回。

そして今朝、腹部のシクシクした痛みに苦しみ当院に来られる。

便通はあるが、なかなか出ずに苦しむ状態が続いている。
便の性状は軟便下痢。
訴える表情からは虚証を連想させるのだが…さてさて といったところ。

以上が、今回の主訴である。

以前より、
「腹痛、便が出ずに詰まった感がしてツライ…」
といった愁訴で度々ご来院されている。

基本的には中焦の温補+疎肝で対応していた。

また、先日 近医で処方されたお薬は、
西洋薬(胃腸の働きをよくするお薬とやら)が2処方と半夏瀉心湯とのこと。

◆望診所見

氣色は青、黒。
表情も気力低下し、老け顔(虚の兆候である)

◆脈証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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(カルテの脈証の写真 寸口が下、尺中が上で表記している。)

両寸口・内に入り、弦(堅い)脈。
両関上も内側で弦脈を呈する。

胃腸症状に反して、右関上外は緩脈であり、
全体的にも虚・弱な脈状は見られない。

吐下後であること、症状(脾虚っぽい軟便・裏急後重など)、望診所見から、全体的に虚証ベースかと思いきや、それに反して脈証では虚は見られず、むしろ実証ベースのようである。
症を取り脈を捨てるか?症を捨て脈を取るか…の判断のしどころである。

◆腹証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・心下・脾募の詰まり
・左腎部の沈位で縦筋(実)あり。
・右腎は虚(いつもは左ではなく右に縦筋がある)

◆治療方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・
陰分(深い層の意味)を疎通させ、
膈を開く治療を主軸とする。

その後、温灸で温めて陽気を補い気を行らせる。

◆治療後の変化・・・・・・・・・・・・・・・・
この治療により、望診が変化する。
気色は青黒から赤味が差し、目力も出る。

声の力も増し、よく話すようになる。
まず第一声が「なんか元気出てきました。」とのこと。

脈証も、脈力維持のまま、寸関内側の堅い脈は解除される。
右関上の緩脈も消失。

腹証の詰まり・縦筋は緩む。
特に縦筋の消失は顕著。

置鍼後は、腸鳴が盛んに聞こえ
腸が活発に動いているのが窺える。

「症を取り脈を捨てるか?症を捨て脈を取るか?」の判断でいうと、
この症例では症を捨て脈を取るとした。

“症を捨てる”ということは、
見方によっては“患者の訴えを選ばず”と言えるかもしれない。

今回の症例でも、訴える症状や望診所見は虚が中心と判断できそうである。
セオリーでいうと先補後瀉を行うべきであろうが、
実際に行った治療は、先瀉後補。

疎通(=瀉法)を主軸に組立てている。
陰分・三陰の塞がり・詰まりを通じさせた。

湯液の四逆散を参考にしている。

また、瀉法の後に補法を行っているが、
これは救法としての温補というより、行気のための温補である。
これも四逆散の条文を参考にさせていただいる。
・・・・・・・・・・・・・・・・

以上が具体的な治療方針である。

元々、気鬱が強いタイプの方で、
五行でいうところの“木尅土”の流れが体質として定着している節もある。

しかし、この木鬱・気鬱の位・層が、今回は明瞭にイメージできたため、
いつもに比べてかなり早くに治療効果が見られた。

ただ木尅土としてとらえると、陰陽の階層も不明瞭のまま治療してしまうが
同じ木実・木鬱でも陰陽の層を分けて治療を行うことは重要である。

この点でも、漢方薬(湯液)医学の理論を学ぶことは大いに意味があると思う。

和魂漢才鍼灸 足立繁久



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