結代脈ベースの治療 【鍼灸医案シリーズvol.9】

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結代脈ベースの治療 【鍼灸医案シリーズvol.9】

2013-08-21

鍼灸医案シリーズ vol.9 ≪結代脉ベースの方の治療≫

診療日2012.10.某日

結代脈を呈する男性の治療

◆【主訴】・・・右頸部の転筋。

1週間前から、右頸部の痛み(=寝違い・落枕)が続く。
一向に治らず、昨日から本格的に悪化。
頸部の筋肉がつる(こむらがえりのように引き攣る)ようになった。
※この症状、私も経験したことありますが、かなり痛いです。
痛みのせいで息が一瞬止まり、うめき声も出ます。

昨日、そして本日がピーク。
立ち座りをきっかけに引き攣りが起こるほどに悪化。
現在進行形で悪化中…。

◆【その他の所見】
職業:専門職、店舗経営にして2児のパパ。
いろいろ忙しく出張やらなにやら飛び回っている様子。
睡眠時間も少なそうです。
いつも置鍼中に爆睡&いびきがスゴイです。

肥満体型・・・です。

数年前から思い出したように来院される方。
今までの来院時の症状は腰痛がほとんどで、筋がらみの疾患が多いです。

◆【脈証】

結代脉ベース。
常に不規則に脈がとびます。
十動を満たずにとびまくりです。
(初診時より一貫してこのような結代脈。)

脈状は大・緩の脈状。

結代ベースが通常の脈なので、脈状そのものが診断基準になりにくいと判断し、
脈の走行(=脈形)をメインに治療を組み立てることにします。

『脈形>脈状』といった情報比重です。

初回の所見は写真の通り

右寸口内にキレイに入っています。
右関上の外に弦脈。

左の関上は濇脈、来てます。

◆【腹証】
心下、右肝相火、右天枢~右滑肉門の実。

◆【治穴】
左三陰交(補)
右百会、右合谷、右太衝、上巨虚(どちらかといえば瀉)
右心下、右章門

《置鍼》

背部治療
心兪、上胃兪、肺兪、腎兪、左肝兪、右膈兪。

《置鍼》

右頸部に局所鍼

以上の治療で終了とします。
治療時間は約60分です。

◆【考証】
搏脈のベースは結代脈。
ですが、脈状は大脈ですので、
この場合、虚証ベースとして判断しています。

濇が左関上に出ていますので、血虚。
(定番ですが)

日常的に、眠不足、久視久行はありますので、
この人の宿を虚労とみて問題ないかと思います。

また、症状が日に日に悪化しているのも重視すべきです。
実証・陽証としてみるべきではないと考えます。

補血後、経脈を通じる治療です。

☆2診目(2日後)

■主訴;右頸部張痛
引き攣るのは治後無くなったとのこと。
ふり返るときにツッパリ感があり痛む(張痛)とのこと。

■脈証
結代脈・脈状大は相変わらず。
脈の走行に変化あり。

右寸関は内に入る。但し寸口の内の入り方は前回に比べて穏やか。
右寸口外にも開き、両尺外に出る。
両寸口中は滑脈。

■腹証
前回とほぼ同様だが、邪の出方が顕著。

■配穴
百会、右申脈、両丘墟
右合谷、右太衝、加左復溜。
右心下、右章門、右滑肉門。

後の治療は前回に同じ。

■考証
前回の裏虚ベースだった所見が、
脈・腹俱により陽・表にシフトしているのが分かります。

治療は太陽経と少陽経ターゲット。
外に向かう内発の趣きが強くなっています。

まだ埋伏している邪毒(?)の存在も関わっている可能性があります。

常に代脉が搏っていて“素の脈”だといっても、
Yさんの出生時より診ている訳ではありません。(予測ですが…)

結代が何者かの障碍によって起こっていないとも限らず、
腹証も(体型も)、伏毒の要素はバッチリあります。

なので、その処置として腹鍼を行いました。



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