発熱後の1歳の女の子の小児はり治療 【鍼灸医案シリーズvol.8】
2013-08-02
鍼灸医案シリーズvol.8
診療日2012.12.某日
1歳の女の子に小児鍼治療
◆【主訴】発熱後の夜泣き
夜、寝る前にギャン泣き。
今までに無かった夜泣きが、毎晩続くようになる。
きっかけとなったのは、先日の発熱(無汗)、嘔吐(1回)
◆【その他の所見】
現在の症;食欲はなく、くしゃみ多い。
鼻水、咳症状は無し。
目がウルウルして、口数少なく、活動も低下。
普段は自分で歩きたがるのも、抱っこしてほしがる。
◆【望診】
目赤は無し。両頬(左<右)
◆【脈診】
虎口三関脈紋;浮全体に赤。
※虎口三関の脈紋はピンボケしてるくらいが良く映る
望診と同じですね。
額脈は両微熱。左右差なし。
脈診:全体に滑 右寸口~関上にかけて毛脈
◆【腹診】
両胃経(天枢~不容)に実。
心下実
◆【治療】
右滑肉門を中心に胃経に治療。(打鍼勝ち櫐き)
→虎口三関は風関のみ浮位で赤となる。
背部の治療部位は、両裏期門。
膈兪以上は1行線がターゲット。
特に心兪(左側に銀鍼、右側に金鍼)
大椎(両側5分傍)
◆【経過】
ここまで治療で、口数も増え、歩き回るようになり、
笑顔も見られるようになる。
目のウルウルもなくなる。
帰宅後の連絡だと、帰宅後大量に軟便。
その後すやすやと寝る。
『こんなことなら、早く小児はりを受けていればよかった』
とのお言葉もいただく(^^)v
◆【考証】
発熱後の余熱が、心胸に残っている状態
それと同じく悪さしているのが中焦胃の腑。
右関上~寸口に気機の渋滞が起こっていると推察。
脈証としては、沈熱浮気滞の証だと判断した。
背候診では、
脾兪胃兪レベルで有形の実(硬結)
膈兪以上で一行線で、無形の気熱としての実を示している。
表裏双解の治療で功を奏したケースだといえる。