鍼灸医案シリーズvol.2 腰椎すべり症
2013-06-25
腰椎すべり症の方の治療例 2012.07
■症状・・・腰痛および左下肢痛。
下肢の痛みは甚だ遊走性であり、数十秒単位で部位が変わる。
部位は足厥陰肝経と足少陽胆経にのエリアに限定されているが
細かな部位は刻々と変化するため、
どの姿勢であっても姿勢を維持することが困難。
※痛みのため、姿勢を変えることが必要。
病院では、腰椎すべり症との診断を受けたとのこと。
■脈証
左尺~関上に渋脈。
寸口、尺中外に滑脈(大脈も帯びている)
※骨の傷害にも、渋脈はしばしば現れると私は診ています。
この方の治療は、最終的に寒邪で処置していますが
この渋脈は寒邪による気の不通であり、骨でありという見方も可だと思います。
■治穴
主穴は左大腸兪
この左大腸兪一穴にて、遊走性の下肢痛が治まる。
従穴は足少陽胆経(寒府、丘墟、中涜…)を取る。
祛寒邪、通経絡が主な治療方針。
⇒2診目
■経過
痛みはかなり軽減とのこと。
伝えてくれる際の笑顔が嬉しい。
前回と対照的。
■脈証
左脈の渋脈は消失するも、
左尺中内、左寸口外に滑脈。
左関上の外に緊弦脈。
■治穴
主穴は前回同様、左大腸兪。
症状軽減とのことであるが、
一定時間、同じ姿勢を取っていると
治療中でも遊走性の痛み症状が再発する。
しかし、再発した症状を治めるにも、
主穴である左大腸兪が良い仕事をしてくれた。
左大腸兪への刺鍼で、騒がしい症状は治まる。
(※左大腸兪は左関上外の脈状に対応する。)
従穴も前回同様、左胆経。
⇒3~4診目から、徐々に同じ姿勢を取っても症状の再発はあらわれず。
治癒に至るも、現在再発防止のため、定期的に通院。
湯液で考えるならば・・・麻黄加朮附湯にあたるかと考えています。