40°を超える熱病の鍼灸治療 【鍼灸医案シリーズvol.11】
2013-09-12
◆2013.03.12
熱病の治療
過去の治療例&私の母親の治療例です。
かなり高熱で長引きましたが、
鍼でなんとか治めれた感がありましたので報告します。
先週の日曜日(3月3日)の午後より寒気から始まる。
さらに咳症状。
その日の夕方から発熱も表れる。
夜には42℃にまで上がった。
(体温計の上限温度ではないか…)
急ぎ、夜間鍼療に取り掛かりました。
□■□治療1日目(3日)夜の所見□■□
■脈證
脈状:浮、数、洪、大、そして濁々の緩脈
右関前一分に滑熱
右寸口渋りの脈
脈形:両尺内・右関上外
■腹證・背候診は行なわず。
☞太陽~陽明位の病と判断。
とにかく清熱しなければ的治療。
■配穴
少海で清熱、内関で寛胸。
三里、上巨虚、豊隆で湿痰をさばく。
■治後脈
脈状は全体数は残るも
右の関前一分・寸口はとれる。
脈形も整う。少海イイ感じである。
□■□■□■□
2日目(3月4日)の朝、熱は37.5℃
後で聞いた話、4日の午前中に病院に診察に行った模様。
37℃台だったので、とくに相手にされず帰宅。
しかし、その夕方からまた発熱。
陽明に居すわっているので当然の病候かと…。
□■□治療2日目 夜の所見□■□
■症状:熱、咳、熱によるふわふわ感
完全に絶食状態。
寝ている時の咳がつらい(眠れない・休めない)
■脈證
脈状:浮、数、大、
※濁々の緩脈は改善される。
右関前一分に滑熱
脈形:両尺内・右関上外
■腹證・背候診は行なわず。
☞陽明熱を主体に治療。
■配穴
少海で清熱、内関で寛胸。
三里、上巨虚で湿熱をさばく。
心下・右滑肉門・左天枢
■治後脈
熱実の脈が十五菽の部位に残る。
(これがどうしても取れなかった)
血分の熱病か・・・と推測
その他の脈状・脈形はおおかた調う。
□■□■□■□
3日目(3月5日)の朝、熱平熱…(でもまだ熱が夕刻より上がると予想される)
咳は落ち着いているとのこと。
父いわく『薬よりもよく効いたわ…』とボソッと私の妻に言ってたらしい。
薬好き(鍼苦手)の父から言われると嬉しい。
5日(火)の夜・6日(水)の朝は治療できず。
□■□治療3回目(6日)夜の所見□■□
発病4日目(3月6日(水))
熱は微熱状態。しかし聾症状があらわれる。
・・・と、私の妻よりメールで知らせが来る。
近医の耳鼻科に行くも、特に原因見つからず。突発性難聴との診断。
国立病院に行くよう指示を受ける。
その夜、帰宅後に治療。
聴覚の状態は完全に難聴状態ではないようす。
大きな声で話すと少しは伝わる…が、
夜間なので言葉のコミュニケーションは互いにあきらめ、妥協的コミュニケーション(笑)
◆高熱による三焦鬱熱による耳への障害かと予測していたが
すでに熱の脈状は少ない状態。
脈を診て、ひとまずホッとひと安心。
補腎補水で自然に聴覚も回復すると思われる。
◆治療は滋陰補腎。
五行的には、金生水、金制木。
配穴は省略。
★案の定、治療中に聴覚は回復してくる
※治療中の会話でも、徐々に声のトーンを落として探ってみる。
これは実際の臨床でも腎虚難聴の方にも良く使う手。
治療前に聞こえにくかった声量でも十分に会話できるようになることが多い。
聴覚の回復・腎虚の改善がよく分かる。
翌日7日(木)には完全に聴覚回復。
しかし、3日ほど寝込んだことと絶食状態にあったため、
体力・筋力の低下が著しい。
歩行の様子はさながら80歳代の老婆…。
気力はしっかりしているので良しとしよう…。
□■□治療4診目(3日)夜の所見□■□
7日(木)の夜にも補腎・逐水治療で回復を助ける。
★8日(金)の早朝、かねてから予定していた北海道旅行に出発
(オイオイ、大丈夫か・・・)
★昨日の夜に帰宅。
今朝、話を聴いたところ…
旅行中も無理せず行動し、飲食も謹み順調に回復。
『結局、国立病院紹介されたけど、一回も(受診に)行かずに治ったわ(爆笑)』
『唯一心配やったのは、空港の持ち物チェックにハリ(皮内鍼)でひっかからへんかどうか…やったけどな(爆笑)』
とのこと。
★治療の報酬は国士無双(火入れ無し)
今回の治療でよく使った配穴が少海もしくは尺沢です。
脈の走行をベースに使いました。
火・熱を制するのに、なかなかよい配穴です。