夏バテにウナギ…は奈良時代からの常識

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夏バテにウナギ…は奈良時代からの常識

2013-07-23

昨日は鰻食べましたか?

『夏の土用 丑の日うなぎの日!』
といえば、江戸期の平賀源内(1728~1780)が作ったキャッチコピー!

・・・そんなエピソードが有名ですね。

しかし、このキャッチコピーが生まれた18世紀から
さらにさかのぼること7~8世紀に生まれた歌集
『万葉集』にこんな歌があります。

■『石麻呂尓 吾物申 夏痩尓 吉跡云物曽 武奈伎取喫』
大友家持

石麻呂に 吾(われ)物申す 夏痩せに吉(よ)しといふ物ぞ 鰻(むなぎ)とりめせ
大友家持(おおとものやかもち)
■『痩々母 生有者将在乎 波多也波多 武奈伎乎漁取跡 河尓流勿』
大友家持

痩す痩すも 生けらばあらむを はたやはた 鰻(むなぎ)を漁(と)ると 河に流るな
大友家持(おおとものやかもち)
※はたやはた=『はた や はた』=『はた(将)や』の危惧する気持ちを強めた表現。

上のふたつの歌はどちらも同じ大友家持が石麻呂さんに送るメッセージです。

石麻呂さん、どうやら、ずいぶん痩せていたご様子。

痩せていて虚弱体質だったようですね。

そんな石麻呂さんに大友家持さんは、

『石麻呂さんに物申す!

夏痩せにはウナギが良いというぞ。

ウナギを摂って滋養をつけたらどうですか。』

と、最初の歌にメッセージを込めています。

さらに2番目の歌では・・・

『ひどく痩せてても、まだ生きているだけ良いではないか

うなぎを取りにいって川に流されないように!』

と、大友家持さんは石麻呂さんのことをずいぶん心配しているようです。

心配しているというか・・・
からかっているようにも見えるのは気のせいでしょうか・・・(^^;)

ところで、石麻呂さんのまたの名を、吉田連老と言うそうです。。

ちなみに・・・
吉田連“きつたのむらじ”“よしだのむらじ”が姓.
老(おゆ)が名です。

生没ともに不明な人物ですが、その出身は百済(くだら)の国。
半島から渡来した医官(医療系技術職)とのことです。

意外なところから、日本の医学史につながり驚きでした(^^)

さて、うなぎの豆知識。

生薬学の百科事典ともいえる『本草綱目』では
鰻の効能を次のように書かれています。

【氣味】
甘、平、有毒

【主治】
五痔瘡瘘、諸蟲を殺す。
(諸蟲を殺すに、焼き炙りて末にす。
空腹に食すこと三五度、即ち差える)

悪瘡、女人の陰瘡虫痒を治し
伝尸、疰氣、癆損を治す
腰膝を暖め、陽を起こす
湿脚気、腰腎間の湿風痺を療す。

小児の疳労及び虫心痛を治す。

婦人の帯下、一切の虫が這うような風痒を療し
又、諸々の草石薬の毒を圧し、害を為すこと能はず。

とあります。
なかなかの効能を持っていますね。

さすが、ウナギです。

そして本朝の医集である『大同類聚方』では

無奈支(むなぎ)
味微甘 臭
河爾採之灰焼呈研支用
(河に之を採り灰になるまで焼きて研き用いる。)

と、書かれてあります。

この辺りの使い方は、
『本草綱目』でいう諸蟲を殺すの方に似ていますね。

ちなみに『本草綱目』では、ウナギの骨と頭を焼いて灰にし、
ひどい皮膚症状に布する方法も記されています。



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